特集 がん検診とリスク層別化検診の課題
セミナー① 一般集団を対象としたがん検診の最近の話題
胃X線検査を用いた胃がん検診
小田 丈二
1
,
入口 陽介
2
1こころとからだの元氣プラザ内視鏡検査部
2ますみつ消化器科
キーワード:
▶基準撮影法を理解し,撮影法を指導することだけでなく,網羅性の高い検査となるように指導することも重要である.
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▶追加撮影には,異常を疑った場合に,所見の有無を明瞭にする目的での撮影と,網羅的に撮影できていない部位を補う目的での撮影とがある.
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▶H. pylori感染率の低下に伴い胃癌の高齢化が進んでいる.高齢の受診者が相対的に増加したことで,安全に対する配慮はより重要となっている.
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▶カテゴリー分類を理解することで,要精査の判定だけでなく,カテゴリー1,2といった精査不要ではあるが,H. pylori感染に伴う胃炎診断,胃がんのリスクを考慮した読影を行う.
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▶要精査となった受診者の対応は一般診療と変わることはないが,受診の有無,結果の把握は精度管理上重要であり,結果報告の届出は必須である.
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▶要精検となった受診者が精密検査を受診したにもかかわらず,その結果報告がなされなかった場合は“未把握”となり,精密検査を受けていない“未受診”とは精度管理上取り扱いが異なる.
Keyword:
▶基準撮影法を理解し,撮影法を指導することだけでなく,網羅性の高い検査となるように指導することも重要である.
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▶追加撮影には,異常を疑った場合に,所見の有無を明瞭にする目的での撮影と,網羅的に撮影できていない部位を補う目的での撮影とがある.
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▶H. pylori感染率の低下に伴い胃癌の高齢化が進んでいる.高齢の受診者が相対的に増加したことで,安全に対する配慮はより重要となっている.
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▶カテゴリー分類を理解することで,要精査の判定だけでなく,カテゴリー1,2といった精査不要ではあるが,H. pylori感染に伴う胃炎診断,胃がんのリスクを考慮した読影を行う.
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▶要精査となった受診者の対応は一般診療と変わることはないが,受診の有無,結果の把握は精度管理上重要であり,結果報告の届出は必須である.
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▶要精検となった受診者が精密検査を受診したにもかかわらず,その結果報告がなされなかった場合は“未把握”となり,精密検査を受けていない“未受診”とは精度管理上取り扱いが異なる.
pp.1338-1342
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.09_008
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はじめに
胃がんは,わが国におけるがんによる主要な死因であった.1950年代に入り,間接X線撮影による胃集団検診が試みられ,その後も胃X線検査は本法における胃がん検診を支える中心的なスクリーニング検査として貢献してきた.最近のデータ1)では,罹患数は大腸,肺に次いで3位,死亡数は肺,大腸,膵臓に次いで4位となっているが,依然として検診による対策が必要な癌種であることに変わりはない.胃がん検診の普及による胃がんの早期発見による死亡率減少効果に果たした役割は大きく,さらにはHelicobacter pylori(H. pylori)感染率の低下に伴い胃癌の罹患数も減少傾向となってきている.そのため,胃癌は高齢化が進み,高齢者では罹患率,死亡率ともに高いのが現状である.さらに,2016年からは胃がん検診に内視鏡検査が導入されるようになり,9年が経過した.特に都市部においては内視鏡検診が主流となっている地域もあるが,巡回バスなどによるX線検診が主役である地域も多数存在していることも確かである.本稿では,胃X線検診における現状と課題について述べることとする.

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