雑誌文献を検索します。書籍を検索する際には「書籍検索」を選択してください。

Volume 42, Issue 8 （August 2025）

Medical Practice 42巻8号（2025年8月発行）

特集関節リウマチ

トピックス

関節リウマチに対する精密医療 ─R4RA trialとSTRAP trialを中心に─ 山田紗依子 ¹ ¹東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科キーワード：関節リウマチに対する精密医療 ─R4RA trialとSTRAP trialを中心に─ , ▶R4RA trial, STRAP trialは，精密医療を念頭においた，初の滑膜生検に基づくランダム化比較試験である． , ▶bDMARD 1剤以上が無効の患者集団を対象としたR4RA trialでは，滑膜のB細胞シグネチャーが低いとリツキシマブの効果が低かった． , ▶bDMARDs使用前の集団を対象としたSTRAP trialでは，滑膜のB細胞シグネチャーが低いとリツキシマブの効果が低いという知見は再現されなかった． Keyword: 関節リウマチに対する精密医療 ─R4RA trialとSTRAP trialを中心に─ , ▶R4RA trial, STRAP trialは，精密医療を念頭においた，初の滑膜生検に基づくランダム化比較試験である． , ▶bDMARD 1剤以上が無効の患者集団を対象としたR4RA trialでは，滑膜のB細胞シグネチャーが低いとリツキシマブの効果が低かった． , ▶bDMARDs使用前の集団を対象としたSTRAP trialでは，滑膜のB細胞シグネチャーが低いとリツキシマブの効果が低いという知見は再現されなかった． pp.1226-1228

発行日 2025年8月1日 Published Date 2025/8/1

DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.08_017

PDF(713KB)

有料閲覧

文献概要
1ページ目
参考文献

はじめに

　関節リウマチrheumatoid arthritis（RA）の治療は，生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬biologic disease-modifying antirheumatic drug（bDMARD）や分子標的型合成疾患修飾性抗リウマチ薬targeted synthetic DMARD（tsDMARD）の登場により，大きな発展を遂げている．一方で，患者の約40％が個々の薬剤に反応せず，さらに5～20％は現存するすべての薬剤に治療抵抗性を示す^1）．治療抵抗例の臨床的な特徴として，女性，高疾患活動性，過去のDMARDs使用，罹病期間の長さ，初期治療の遅れなどがある^2,3）．初期のRAには，治療反応が良好な，いわゆる“window of opportunity”があることが知られ^4），これを逃さずに，各個人にとって最良の治療選択により疾患活動性を抑えることで，治療奏効の確率が上昇する．すなわち，患者に早期に最適な治療を提供するための，治療反応性を予測する詳細なバイオマーカーの同定は喫緊の課題と言える．