今月の主題 循環器薬の使い方
editorial
循環器薬とrandomized trial
山口 徹
1
1三井記念病院・循環器センター内科
pp.1438-1439
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222640
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循環器薬の多くは長期に投与され,したがって患者のコンプライアンスと薬の長期有効性は重要な問題である.しかしたとえば心不全に対するジギタリス,利尿薬,抗不整脈薬が長期予後の上では心臓死,とくに突然死の原因となる可能性が論じられているように,長期有効性の評価は実は容易ではない.循環器薬の長期治療に伴うbenefit-riskをどう考えたらよいのであろうか.この疑問に答えてくれるのはrandomizedcontrolled trialであろう.とくに長期有効性については,明らかに有効と考えられている薬剤も,対照をとった無作為二重盲検試験で有効性が証明されたものは意外と少ないのに驚く.欧米に比べてわが国では循環器領域でのrandomized trialは最近まで少なく,とくに長期治療についてはほとんどないのが現状である.本稿ではプラシポ群をおいたrandomized trialの成績に注目してみた.
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