特集 上部消化管疾患
セミナー 最新の実地診療のポイントの整理と活用
早期胃癌の内視鏡診断
吉村 大輔
1
,
吉村 理江
2
1国立病院機構九州医療センター消化器内科
2博愛会人間ドックセンターウェルネス
キーワード:
早期胃癌の内視鏡診断
,
▶H. pylori除菌治療による胃癌の発症抑制がわが国発の前向き研究により証明されている.
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▶H. pyloriにより萎縮性胃炎,腸上皮化生が幽門部から口側小彎側,大彎側へと長い年月をかけ拡大していく.
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▶萎縮境界遠位部より発赤調星芒状陥凹を特徴とする分化型早期癌が,近位部より褪色調地図状陥凹を特徴とする未分化型早期癌が好発する.
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▶H. pylori既感染胃の癌は,多くが除菌時に既に存在した病変が時を経て顕在化したものと考えられ,「除菌後発見胃癌」と呼称される.
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▶H. pylori除菌により分化型早期癌の腫瘍表層は異型が減弱し,「胃炎様粘膜模様」などと呼称される,存在診断が困難な病変が存在する.
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▶H. pylori未感染胃では腺領域に応じて好発する早期癌の形態および組織型に特徴がみられる.
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▶噴門部癌は進行癌が多く,胃底腺領域の低異型度分化型腺癌,胃底腺と幽門腺の境界領域の印環細胞癌,幽門腺領域の胃腸混合型分化型腺癌はほとんどが早期癌として発見される.
Keyword:
早期胃癌の内視鏡診断
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▶H. pylori除菌治療による胃癌の発症抑制がわが国発の前向き研究により証明されている.
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▶H. pyloriにより萎縮性胃炎,腸上皮化生が幽門部から口側小彎側,大彎側へと長い年月をかけ拡大していく.
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▶萎縮境界遠位部より発赤調星芒状陥凹を特徴とする分化型早期癌が,近位部より褪色調地図状陥凹を特徴とする未分化型早期癌が好発する.
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▶H. pylori既感染胃の癌は,多くが除菌時に既に存在した病変が時を経て顕在化したものと考えられ,「除菌後発見胃癌」と呼称される.
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▶H. pylori除菌により分化型早期癌の腫瘍表層は異型が減弱し,「胃炎様粘膜模様」などと呼称される,存在診断が困難な病変が存在する.
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▶H. pylori未感染胃では腺領域に応じて好発する早期癌の形態および組織型に特徴がみられる.
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▶噴門部癌は進行癌が多く,胃底腺領域の低異型度分化型腺癌,胃底腺と幽門腺の境界領域の印環細胞癌,幽門腺領域の胃腸混合型分化型腺癌はほとんどが早期癌として発見される.
pp.1060-1065
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_018
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はじめに
わが国において胃癌はかつて部位別死因の第1位,国民病として長らく存在し続けていた.胃癌死の抑制のために早期発見への取り組みが多くの臨床家,研究者によりなされ,X線や内視鏡による画像診断と外科手術標本の精緻な病理解析,そしてこれらの対比の積み重ねにより,胃癌の組織型とその背景粘膜,早期癌の肉眼(内視鏡的)形態の特徴との関連が示されるに至った1).

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