特集 上部消化管疾患
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早期胃癌の内視鏡切除の適応・適応拡大について ─今後の展望を含めて─
鈴木 晴久
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1日本大学医学部内科学系 消化器肝臓内科学分野
キーワード:
早期胃癌の内視鏡切除の適応・適応拡大について ─今後の展望を含めて─
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▶早期胃癌内視鏡切除の適応の原則は,リンパ節転移の可能性が極めて低く,腫瘍が一括切除できる大きさと部位にあることである.
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▶現行ガイドラインの内視鏡切除の適応は,「絶対適応病変」,「適応拡大病変」,「相対適応病変」に分類されている.
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▶リンパ節転移の危険性が1%未満と推定される病変を「絶対適応病変」と「適応拡大病変」に定義している.
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▶高齢などで標準治療の手術を選択し難い病変に対して,「相対適応病変」として内視鏡切除が選択される場合がある.
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▶高齢早期胃癌患者において一定のリンパ節転移リスクを許容することで,内視鏡切除適応を拡大できる可能性を検証する多施設共同臨床試験が開始された.
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▶過去の手術例のデータからリンパ節転移割合が10%を下回り,ESDで技術的に切除可能と判断される病変を試験対象の条件とした.
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▶ESD施行後に病理学的に転移リスクが高い場合に手術を追加,それ以外は経過観察する試験治療が,標準手術と比べ生存期間で劣らないかを検証する.
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▶試験治療の標準手術に対する非劣性が証明されれば,ESDが新規適応規準を満たす早期胃癌に対する新たな治療オプションとなりうる.
Keyword:
早期胃癌の内視鏡切除の適応・適応拡大について ─今後の展望を含めて─
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▶早期胃癌内視鏡切除の適応の原則は,リンパ節転移の可能性が極めて低く,腫瘍が一括切除できる大きさと部位にあることである.
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▶現行ガイドラインの内視鏡切除の適応は,「絶対適応病変」,「適応拡大病変」,「相対適応病変」に分類されている.
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▶リンパ節転移の危険性が1%未満と推定される病変を「絶対適応病変」と「適応拡大病変」に定義している.
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▶高齢などで標準治療の手術を選択し難い病変に対して,「相対適応病変」として内視鏡切除が選択される場合がある.
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▶高齢早期胃癌患者において一定のリンパ節転移リスクを許容することで,内視鏡切除適応を拡大できる可能性を検証する多施設共同臨床試験が開始された.
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▶過去の手術例のデータからリンパ節転移割合が10%を下回り,ESDで技術的に切除可能と判断される病変を試験対象の条件とした.
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▶ESD施行後に病理学的に転移リスクが高い場合に手術を追加,それ以外は経過観察する試験治療が,標準手術と比べ生存期間で劣らないかを検証する.
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▶試験治療の標準手術に対する非劣性が証明されれば,ESDが新規適応規準を満たす早期胃癌に対する新たな治療オプションとなりうる.
pp.1066-1071
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.07_019
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はじめに
早期胃癌に対する内視鏡切除は,リンパ節転移リスクの低い病変を局所切除する治療法である.現在では,内視鏡的粘膜下層剝離術endoscopic submucosal dissection(ESD)の開発により,病変部位やサイズ,潰瘍の有無にかかわらず一括切除が技術的に可能となり,早期胃癌ESD後の長期予後の検証結果から,その治療適応が拡大されてきた.高齢者では,外科切除を選択し難い場合も多く,相対適応病変として内視鏡切除が選択される場合がある.本稿では,早期胃癌の内視鏡切除の適応・適応拡大と高齢者に対する内視鏡切除の今後の展望について述べる.

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