特集 過去3年間の新型コロナウイルス感染症の総括と今後の対策
1.新型コロナウイルスオミクロン変異型・亜変異型(SARS-CoV-2 Omicron Variants/Subvariants)の分子進化に関する最新知見
近土 真由美
1
,
木村 龍介
2
,
長澤 紀佳
3
,
岡山 香里
1
,
赤川 真緒
4
,
林 由里子
5
,
藤本 友香
5
,
白井 達也
2
,
齋藤 慎
1
,
原田 和彦
6
,
伊藤 一人
7
,
藤田 清貴
3
,
木村 博一
8
1群馬パース大学医療技術学部臨床工学科
2群馬パース大学附属研究所先端医療科学研究センター
3群馬パース大学大学院保健科学研究科
4順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部
5群馬パース大学医療技術学部検査技術学科
6群馬パース大学大学院保健科学研究科/医療法人社団美心会黒沢病院
7群馬パース大学附属研究所先端医療科学研究センター/医療法人社団美心会黒沢病院
8群馬パース大学大学院保健科学研究科医療科学領域教授/同附属研究所先端医療科学研究センター長
pp.4-8
発行日 2023年12月22日
Published Date 2023/12/22
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.07.01_0004-0008
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新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease-2019:COVID-19)がパンデミックを引き起こしてから,約3年半が経過した.2023年6月現在,本疾患はエンデミック(地域流行)に近づいてはいるものの,依然として,公衆衛生学的に感染・超過死亡の拡大も含め,予断を許さない状態となっている1,2).世界各地に拡散した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus type 2:SARS-CoV-2)は,プロトタイプの武漢株を始祖ウイルスとした数多くの変異型(variant)ならびに亜変異型(subvariant)が2020年以降,出現し続けている3).この進化のプロセスで,当該ウイルスの主要抗原であるS(spike)蛋白のアミノ酸置換は,特にウイルス受容体(angiotensin converting enzyme 2 receptor:ACE-2R)との結合部位と推定されるレセプター結合領域(receptor binding domain:RBD)を中心に生じている3).また,2022年以降,世界各国で主流行型となっているオミクロン変異型(omicron variant)は,さらにその派生型である亜変異型を数多く生み出し,世界各国で本疾患流行の主流となっている1-4).このような背景から,本稿においては,オミクロン変異型・亜変異型を中心とした当該ウイルスS蛋白の分子進化を中心とした最新知見について概説する.
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