特集 新型コロナウイルス感染症の最新動向
1.新型コロナウイルスの分子疫学・分子進化に関する最新知見
木村 博一
1
,
岡山 香里
2
,
佐田 充
3
,
赤川 真緒
4
,
林 由里子
2
,
藤本 友香
5
,
白井 達也
3
,
原田 和彦
6
,
藤田 清貴
7
1群馬パース大学大学院保健科学研究科医療科学領域教授
2群馬パース大学大学院保健科学研究科/群馬パース大学保健科学部検査技術学科
3群馬パース大学附属研究所先端医療科学研究センター
4群馬パース大学大学院保健科学研究科
5群馬パース大学保健科学部検査技術学科
6群馬パース大学附属研究所先端医療科学研究センター/医療法人社団美心会黒沢病院検査部
7群馬パース大学保健科学部検査技術学科長
pp.4-7
発行日 2021年12月15日
Published Date 2021/12/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.05.02_0004-0007
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新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)が世界的流行を引き起こしてから,既に1年半が経過した.2021年9月14日現在,感染者報告総数は,2億2,500万人,死者総数は463万人を超えている1).また,本疾患の感染予防,重症化予防に資するとされるワクチンも開発され,わが国を含む多くのワクチン接種先進諸国において,2021年9月には接種率が50%以上となった.これらの国々においては,接種率の上昇に伴い,本感染症の重症化率ならびに死亡率の減少がみられる一方,行動制限の緩和により,新規感染患者の増加もみられている2).世界各地に拡散した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus type 2:SARS-CoV-2)は,感染を重ねながら主要抗原のS蛋白も変異を重ね進化し続けている3).現在,S蛋白に特有のアミノ酸置換がみられる変異株(variant)が地域流行あるいは世界的な流行に関与しており,これらの今後の動向を注視する必要がある.また,変異株に対する既存のワクチンの効果に対する科学的知見が集積しつつある.このような背景から,本稿においては,当該ウイルスS蛋白の分子進化と現行ワクチン(mRNAワクチン)の効果に関する最新知見について概説する.
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