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ホルモン受容体陽性HER2陰性転移乳癌に対する一次治療はnon-visceral crisisの場合,長らくホルモン療法単剤が行われてきた。ホルモン療法で長期にコントロールできる症例が多いのも事実である。2013年に非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)耐性のホルモン受容体陽性乳癌に対し,ステロイド性アロマターゼ阻害薬であるエキセメスタンに対するmTOR阻害薬のエベロリムスの上乗せを検証したBOLERO-2試験1)が公表されて以降,ホルモン療法と分子標的薬の併用が日常臨床で行われるようになり,さらにCDK4/6阻害薬の登場によって,ホルモン療法と分子標的薬の併用を行わないことは少なくなってきた。表1にCDK4/6阻害薬またはmTOR阻害薬とホルモン療法を併用した第Ⅲ相試験を示す。一方,分子標的薬の併用によって有害事象は増加する。効果が高く長い無増悪生存期間(progression free survival:PFS)を得られる治療であるからこそ,治療効果によるメリットと有害事象によるデメリットは慎重に判断する必要がある。本稿においては議論をわかりやすくするために,「アロマターゼ阻害薬(aromatase inhibitor:AI)による治療中もしくは治療終了後に再発した閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌」にフォーカスを当て,「AIとはCDK4/6阻害薬を併用すべき」という立場で論じる。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。また,特定の薬剤の誹謗をするものではありません。・論点整理/南博信・「CDK4/6阻害薬を併用すべき」とする立場から/河村雪乃/下村昭彦・「エベロリムスを併用すべき」とする立場から/古川孝広
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