The review of clinical study
E-SPEC試験
木川 雄一郎
1
1関西医科大学附属病院乳腺外科助教
pp.68-68
発行日 2019年3月30日
Published Date 2019/3/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.01_0068-0068
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アンスラサイクリン・タキサン既治療例の転移・再発乳癌を対象とした第Ⅲ相試験(EMBRACE試験)において,エリブリン単剤は主治医選択治療(TPC)と比較して有意に全生存期間(OS)を延長した(p=0.041)1)。この試験では無増悪生存期間(PFS)は延長しないにもかかわらずOSが延長しており,カペシタビンとの無作為化比較試験である301試験でも同様の傾向が示された2)。これらの原因として,エリブリンによる上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition:EMT)抑制効果や血管新生抑制効果を示した基礎研究3)に加えて,脳・肺・肝などの致死的新規転移巣の発生が低下することや,新規転移巣が認められるまでの期間(new metastasis free survival:nMFS)が延長する傾向を示したという報告4)もあるが,まだ不明な点も多い。以上より,この原因を探索し,本邦におけるエリブリンの適切な位置付けを検討するために,まずreal worldにおいて早期ラインで投与されたエリブリンとエリブリン以外のTPCのOSを前向きに調査することとし,本研究を計画した。また,エリブリンが後治療に与える影響に関しては,エリブリン以降の治療情報も重要であり,その後の詳細情報も3次治療終了時まで収集することとした。
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