よくわかる病理診断報告書
Q17 浸潤性乳管癌(乳癌取扱い規約 第18版)について教えてください/Q18 混合型乳癌(乳癌取扱い規約 第18版)について教えてください
森谷 卓也
1
1川崎医科大学病理学教授
pp.30-33
発行日 2019年3月30日
Published Date 2019/3/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.01_0030-0033
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「Q17 浸潤性乳管癌(乳癌取扱い規約 第18版)について教えてください」2018年5月に,『乳癌取扱い規約 第18版』が出版されました。この改定における最大のポイントは乳腺腫瘍の組織学的分類が大幅に変更された点にあります。特に,前版まではWHO分類(第4版,2012年)との間に大幅な乖離がある印象が否めなかったことに加えて,UICC第8版(2017年)や企画中の領域横断的癌取扱い規約との整合性も意識した結果,現時点で最も適切と思われる分類に至ったものと思われます。特にWHO分類とは,対応表を用いてすべての組織型に互換性をもたせたことと,WHO分類に取り上げられているが従来の乳癌取扱い規約には記載がなかった稀な組織型については,「その他」の項に列挙するなどして付記がなされています。「Q18 混合型乳癌(乳癌取扱い規約 第18版)について教えてください」乳癌の形態は多彩で,病理組織分類も複雑です。癌細胞の配列,個々の細胞の形態学的特徴や,癌細胞を取り巻く間質の形態を組み合わせて判断がなされています。間質浸潤を伴う乳癌は,微小浸潤癌を除けば浸潤性乳管癌(いわゆる通常型浸潤性乳管癌)と,特殊型乳癌に分類されます。特に後者は独特の細胞像や組織学的特徴を示すもので,組織型自体が臨床病理学的特徴を示すもの(例:管状癌の予後,浸潤性微小乳頭癌のリンパ節転移)が多く認められます。ただし,特殊型も含めて,1つの腫瘍中に複数の異なる形態を成す成分が混在していることも決して珍しくはありません。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.