よくわかる病理診断報告書
Q21 WHO分類第5版の改正点について教えてください/Q22 領域横断的がん取扱い規約について教えてください
森谷 卓也
1
1川崎医科大学病理学教授
pp.30-33
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.06.01_0030-0033
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「Q21 WHO分類第5版の改正点について教えてください」WHOの乳腺腫瘍組織分類が7年ぶりに改訂され,2019年12月に第5版が出版されました。作成に参加した154名の病理医のうち13名が日本人で,前回は3名であったことからも,日本の貢献度が多く認められたものと思われます。冊子は356ページあり,前版より100ページ以上厚くなりましたが,全体に写真が大きくなった点と,3段組みから2段組となった点がボリュームに影響しているとも考えられます。前版では浸潤性乳管癌,特殊型の順に記載されていましたが,今回は上皮性腫瘍として良性上皮増殖,腺症,腺腫,上皮-筋上皮性腫瘍,乳頭状腫瘍,非浸潤性小葉性腫瘍,非浸潤性乳管癌,浸潤癌,まれな組織型の順に組み替えられました。「Q22 領域横断的がん取扱い規約について教えてください」私たちが診療を行う際,患者さんへの説明,カルテ記載に加えて,医療チーム内での共通理解,さらには医療機関相互の連携をとるうえで,適切な用語を用いることが重要と思われます。乳癌診療に関わっているあらゆる立場の方が大きな拠り所としているのが,日本乳癌学会が編集,発行している「臨床・病理 乳癌取扱い規約」です。1967年に初版が出版されてから,逐次改定を重ね,2018年5月には第18版が出されました。国際的に用いられているWHOの乳腺腫瘍組織分類(第4版が2012年に発行されたのち,2019年12月に第5版が出版されました。その概要は本誌の別項として解説しています),TNM分類(AJCC/UICC第8版.2016年)との読み替えなど,整合性を重視しており,乳癌の登録にも重要な役割を担っています。
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