Laboratory Practice 〈病理●癌取扱い規約の解説と問題点・10〉
乳癌取扱い規約
秋山 太
1
1(財)癌研究会癌研究所病理部
pp.964-967
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101855
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はじめに
癌取扱い規約は,癌の臨床的事項や病理的事項を記載するための一定の基準を表したものである.日本乳癌学会による乳癌取扱い規約の初版は1967年に発行され,その後改訂が重ねられ現行の規約は2004年刊行の第15版である.現行の乳腺腫瘍の組織学的分類は1984年に改正されたままであり,15版の改訂の際には2003年に出された世界保健機関(World Health Organization,WHO)新分類との整合性が問題となった.しかしながら,WHOの新分類は従来のWHO分類からかなりかけ離れたもので,系統的な分類ではなく,組織型を羅列しただけのような分類であった.そのため,日本乳癌学会分類のほうがWHO分類より優れているという判断の下に,乳腺腫瘍の組織学的分類に関しては改正が行われなかった.
その後,乳癌取扱い規約に掲載されていない組織型の重要性,記載されている組織型でもその解説の改正の必要性が高まり,乳腺腫瘍の組織学的分類の見直しが行われた.新分類は2008年刊行予定の『乳癌取扱い規約 第16版』に掲載予定である.規約掲載に先立ち,本稿では「乳腺腫瘍の組織学的分類」の改正点について解説する.
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