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「Q15 乳癌のリンパ管侵襲について教えてください」浸潤性乳癌において,リンパ節転移の有無とその程度は,病期を決定する重要な因子です。リンパ節転移とは,浸潤性の癌細胞がリンパ管内に進展し,それを介してリンパ節に達したものです。乳癌原発巣においてリンパ管侵襲の存在とその程度は,リンパ節転移とも独立した予後因子とする研究成果が少なからず示されています。浸潤性の癌は,周囲組織を浸潤し,その一部がリンパ管壁を破壊すればリンパ管内に侵入し,従来のリンパ管の流れに沿ってリンパ節に達します。乳癌の場合,そのほとんどは腋窩リンパ節に向かい,到達の有無はセンチネルリンパ節生検としても検討されています。また,乳房温存手術症例においては,切除断端の評価のほとんどは癌の乳管内進展に関する評価ですが,リンパ管侵襲による進展が切除範囲を越えて存在している可能性(原発巣におけるリンパ管侵襲の程度にも関連すると予測されます)は常に残りますので,残存乳房への放射線照射や術後薬物療法によるコントロールが必須となります。したがって,病理組織学的に原発巣のリンパ管侵襲の有無,程度を検討することには複数の意義があると考えられます。「Q16 炎症性乳癌について教えてください」炎症性乳癌は稀な進行性乳癌の一型です。臨床的に,炎症性病変と同様に,乳房に発赤・硬結・熱感・腫脹などの炎症徴候を示す癌です。臨床的には,急速な乳房腫大と乳房の炎症様変化があり,皮膚には橙皮様peau d’orangeと称される独特の所見を呈すことがあります。しかし,背景の乳腺実質に腫瘤を認めない症例もあり,一方腋窩リンパ節が腫大し,転移を伴うオカルト癌の様相を呈する場合があります。
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