よくわかる病理診断報告書
Q19 篩状癌について教えてください/Q20 乳管内成分優位の浸潤癌について教えてください
森谷 卓也
1
1川崎医科大学病理学教授
pp.26-29
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.05.02_0026-0029
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「Q19 篩状癌について教えてください」乳癌の病理組織学的形態は多様です。それは,最も頻度が高い通常型の浸潤性乳管癌においても,本邦の取扱い規約では腺管形成型,充実型,硬性型があることからも理解できます。腺管形成傾向が強い,いわゆる分化のよい癌は,腺管形成型(旧規約分類では乳頭腺管癌の一型)に分類されます。また,さらに高分化とみられる組織型として管状癌が,特殊型のひとつとして設定されてきました。「Q20 乳管内成分優位の浸潤癌について教えてください」乳癌のほとんどは終末乳管-小葉単位(terminal duct-lobular unit:TDLU)の上皮から発生します。癌細胞はまず,乳管や小葉内の細乳管に沿って広がり,やがてその一部が基底膜を破って周囲の間質に浸潤をきたすものと考えられます。間質浸潤を起こさずに広がっている腫瘍は非浸潤癌に,浸潤を生じれば浸潤癌に分類されます。そして,浸潤癌の組織型は,間質浸潤を生じている腫瘍成分の細胞配列や,細胞個々の形態学的特徴,および癌を取り巻く間質の性状をとらえて決定されます。
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