The review of clinical study
RESQ試験
高橋 將人
1
1国立病院機構北海道がんセンター副院長
pp.59-59
発行日 2018年8月20日
Published Date 2018/8/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.04.02_0059-0059
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転移・再発乳癌は,治癒を得ることはきわめて稀であり,治療の主な目的は症状の緩和,延命,quality of life(QOL)の維持と改善である。HER2陰性の一次化学療法としては,アンスラサイクリン系あるいはタキサン系薬剤が選択されてきた。経口フッ化ピリミジン系薬剤であるS1は,本邦で行われた一次化学療法の効果を検証するSELECT試験により,主要評価項目の全生存期間(OS)において標準治療であるタキサンに非劣性であった。一方エリブリンは,301あるいは305試験においてほかの化学療法薬と比較してOSを改善する傾向にあり,QOLの改善も期待できる薬剤であることが判明した。従来第Ⅲ相比較試験では,OSや無増悪生存期間(PFS)などが,主要評価項目に設定されることが多かった。その一方,患者の主観的な評価(patient reported outcome;PRO)が成熟してきたため,QOL評価の臨床試験での重要性は高まっている。以上の背景より,HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次療法としてのエリブリンの選択が,標準薬の1つであるS1に対してQOLを主要評価項目として非劣性であることを比較検証する第Ⅲ相試験(RESQ試験)を計画した。
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