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乳癌に対する手術療法は確実に縮小に向かっている。乳房原発巣においてはHalsted手術から乳房部分切除へと縮小し,現在ではDCIS症例や術前薬物療法著効例において非切除経過観察の検討がすでに始まっている。腋窩手術に関してもその傾向は同様である。詳細は本文でも述べるが,縮小手術のメリットが原発巣切除では乳房の整容性であることに対して,腋窩手術ではリンパ浮腫に代表される術後の長期にわたる症状の軽減が患者にとって非常に大きなものとなる。センチネルリンパ節(SLN)に転移を認めなければALNDは省略可能であり,さらに,SLNに転移を認めた場合においても前向きランダム化比較試験の結果1)2)から「センチネルリンパ節転移2個以下」「術後に放射線療法を行う」「術後適切な薬物療法を行う」ことを条件に2014年のASCOガイドラインでもALNDを省略すべきだと提言され3)ている。またcN0の症例であれば術前化学療法(neoadjuvant chemotherapy:NAC)を行った後SLNBを行うことはSt.Gallen consensus meeting 2017のvotingにおいて約90%のパネリストがこれに賛同している4)。しかし,cN1でNAC後画像上転移陰性になった場合,SLNBによりALNDを省略できるかどうかはいまだエビデンスは揃っておらず,議論の余地がある。今あるデータを踏まえ,「cN1症例においてもNAC後SLNBによりALND省略が可能である」という立場で論じる。●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。・論点整理/南博信・「必要である」とする立場から/坂東裕子・「不要である」とする立場から/枝園忠彦
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