検査ファイル
PCNA染色
黒川 和男
1
,
辻本 正彦
1
1大阪警察病院研究検査科
pp.605
発行日 1992年7月1日
Published Date 1992/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901218
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はじめに
腫瘍の悪性度や予後が腫瘍細胞の増殖能とよく相関することが知られている,近年,BrdU(bromodeoxyuridine),Ki-67,PCNA(proliferating cell nuclearantigen)などが細胞増殖を示すマーカーとして報告されている.これらに対するモノクローナル抗体も市販され,組織切片上で証明できるようになった.中でもPCNAはホルマリン固定,パラフィン包埋標本で検出可能なため,過去の検体についても検討でき,比較的簡単に行えるという利点があり注目されている.現在市販の抗PCNA抗体には19A2(American Biotech)とPC10(Novocastra Laboratories)がある.
歴史的には,1978年にMiyachiらが全身性エリテマトーデスの患者の自己抗体に対応する抗原をPCNAと命名したが,これは1981年,Bravoらが発見したcyclinとも同一のものであることがわかった.また1984年にLeeらが発見したDNAポリメラーゼδ補助因子とも一致することがわかり,その後PCNAの解明が進み,全容が明らかになりつつある.
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