アルコールと芸術
①映画(第2回)
森川 恵一
1
1社会医療法人財団松原愛育会松原病院院長代行副院長
pp.6-8
発行日 2019年7月30日
Published Date 2019/7/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.07.02_0006-0008
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松原病院の森川です。アルコール依存症を描いた映像作品を次々と取上げ,患者様・御家族様の心理教育の材料に,あるいは治療スタッフの研修の教材に,さらに諸先生方の気分転換の一助とならないかと愚考して,連載を続けます。今回,最初にご紹介する映画は,私の郷里の石川県金沢市でもロケ撮影をした「カノン」(2016年,日本映画)です。この映画は,2015年3月14日,北陸新幹線の東京―金沢間が開業し,記念として企画された作品で,冒頭の津幡町の「新幹線の見える丘公園」からの,「九谷五彩」の九谷焼の五色に彩られた疾走する北陸新幹線の雄姿から始まり,金沢市内,黒部市内など,随所に北陸新幹線沿線ロケが展開され旅情を誘われますが,内容は歯ごたえがあり,お気楽観光映画では,断じてありません!(当初,「金沢弁のアクセントが違うし」とか「その場所でタクシー拾えないし」とか「このロケ撮影はあの寺か」とか,突っ込みを入れていた私もついつい引き込まれました)。考えさせられることが多い珠玉の現代的な作品です。祖母の葬式で,金沢にきた東京在住の美村里江(ミムラ)演じる主婦の長女,富山県黒部市在住の比嘉愛未演じる教師の次女,石川県金沢市在住の佐々木希演じる料亭の若女将の三女の三姉妹が,祖母の遺書で,死んだと聞かされていた鈴木保奈美演じる母親が実は生きていて,富山で老人保健施設に入所していることを知らされます。
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