Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「病は映画から」―日本映画の「病気ブーム」
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.341
発行日 1994年4月10日
Published Date 1994/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107598
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私事で恐縮だが,一昨年8月から1年間,アメリカUCLA公衆衛生学大学院に留学して,日米医療の比較研究を行った.帰国後,この期間に,日本映画に突然「病気(病院)ブーム」が生じたことを知った.「キネマ旬報」等で調べた範囲では,邦画だけで,この1年間に.実に7本もの映画が公開されている.「パッチンして!おばあちゃん」(公開92年10月3日,以下同じ),「私を抱いてそしてキスして」(92年11月14日),「復活の朝」(92年11月21日),「病は気から―病院へ行こう2」(92年12月19日),「ナースコール」(93年1月30日),「大病人」(93年5月29日),「病院で死ぬということ」(93年7月24日).
ある評論家は,このうちの一本の題名をもじって,「『病は気から』ではなく,『病は映画から』の図」と皮肉っているほどだ.私の留学先のUCLAはハリウッドの「隣」にあることもあり,大学・私のアパートから歩いて行ける範囲だけで,映画館は10館20スクリーンもあった.そのため,同じ期間に封切られたアメリカ映画は,よほどマイナーなものでない限り,ほとんど観たが.医療・病院ものと言えるのは,わが国でも公開された「ロレンツオのオイル―命の詩」等ほんの数本だけだ(ホラー映画等の際物的映画は除く).それほど,この間の日本映画の「病気(病院)ブーム」は際だっている.
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