若手ドクターの広場
断酒会のゲマインシャフト的機能 ―ARPのシステム化のなかで―
海野 順
1
1聖和錦秀会阪和いずみ病院/光風会三光病院
pp.52-54
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.06.02_0052-0054
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依存症は孤立する病気であり,「addictionの反対はconnectionである」と言われるごとく,回復過程においては「つながり」をもつことが重要視され,自分の居場所や役割を見つけて社会参加することが求められる。ドイツの社会学者F.テンニースは,社会類型として「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」という対概念を提唱した。ゲマインシャフトとは,地縁,血縁や精神的連帯などを基盤に本質意志によって結合した共同社会であり,ゲゼルシャフトとは,何らかの目的を達成するため選択意志に基づいて人為的に組織された利益社会である。家族や村は前者の,都市や会社は後者の例であるが,社会組織は近代化とともにゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ変遷すると考えられた。近年,全国各地で断酒会員数の減少が問題視されており,断酒会の役割について,集団のあり方の視点から見直してみたい。
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