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I.はじめに
最近アルコール中毒の新しい治療方式として,断酒会を治療システムに組み入れた試みがふえ1〜5),回復者グループである断酒会の集団治療効果が注目されてきているが,断酒会の実態についての報告は数が少ない6〜9)。現在全国に最大の組織をもち,活発な臨床活動を行っている全日本断酒連盟(全断連)は東京,高知でそれぞれ発展してきた2つの断酒会が昭和38年に合併して初めて全国組織を結成し,当時支部数6,会員数400にすぎなかったものが,昭和49年5月では,傘下断酒会110,支部数500,会員数30,000,全国42県は北海道,東北,関東,中部,東海,近畿,中国,四国,九州の9ブロックに分かれその下に県連合会,さらにその下に市町村断酒会が属する巨大組織に発展した。しかしながら後進地区では県連合会をもつまでに組織化が進行しておらず,いわば,全断連自体が組織化の過渡期にあるので,その下にあってめまぐるしく統合,新生と活溌な新陳代謝を繰り返している市町村単位断酒会の活動の実態を正確に把握することは,会本部はおろか県支部段階でも困難である。全断連は広報普及より,酒害相談や例会活動など,直接患者のアフター・ケアにつながる実践活動に重きをおく行動型集団としての特徴がある。川崎市精神衛生センターでは昭和46年からアルコール中毒対策の一環として川崎断酒新生会育成と組織化をすすめ,断酒会を治療システムにとり入れた外来治療10)を併せ行ってきたが,昭和48年6月に同会の担当で行われた第5回関東,東海,甲信越ブロック大会を利用して,同地区断酒会の活動状況のアンケート調査を行った。そこでこれに各本部の訪問調査を併せて,その結果を報告し考察を加える。
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