連載 自立のための援助論—セルフ・ヘルプ・グループに学ぶ・2
仲間がいたからこそ—アルコール依存と‘断酒会’
久保 紘章
1
1四国学院大学
pp.918-923
発行日 1986年8月1日
Published Date 1986/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923082
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今月から,数回にわたってセルフ・ヘルプ・グループにかかわっている人たちを紹介しながら,このグループの持つ意味を考えたい.全国には数えられないほどの人たちが,この種のグループに属し,活躍していることだろう.これから取り上げようとする人たちは,私が身近に知っている方たちである.今回は,‘断酒会’について書こうと思う.
私は,20年ほど前に短い期間だが,民間の精神病院でソーシャルワーカーとして勤めたことがある.入院者の中には,アルコール依存の患者さんたちも少なからずいた.あるとき,朝退院した患者さんが,その日の夕方にぐでんぐでんに酔っぱらって,病院に帰ってきた.私もその人と何度か面接をしていたが,退院したら酒は止めて,今度こそは職場にも家族にも迷惑をかけずに頑張りたいと彼は言った.その言葉にウソはなかったはずである.心からそうしたいという決意が読み取れた.
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