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無侵襲的出生前遺伝学的検査 母体血を用いた新しい遺伝学的検査(NIPT)─遺伝医療に携わる小児科医の立場から─
斎藤 加代子
1
1東京女子医科大学附属遺伝子医療センター所長・教授
pp.32-35
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0055.08.01_0032-0035
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「はじめに」2012年8月に,母体血を用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing;NIPT)が日本で始まるという話題が報道され,2013年3月に日本産科婦人科学会が『母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針』を出し,日本医師会,日本医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本人類遺伝学会が共同声明を発表した。2013年4月より,この遺伝学的検査がレギュレーションのもとに施設要件および人的条件を有する施設において臨床研究として始まった。この指針の検討委員会のメンバーとして議論に加わり,「妊婦の妊娠に対する漠然とした不安」が,「21トリソミー(ダウン症候群),18トリソミー,13トリソミーをもつ子どもを出産することへの不安」に転嫁されていることを感じた。現在の日本には,染色体疾患をもつ子どもたちの生活や日常,輝きを知らずに,知らないからこそ不安のみが増幅する,という状況があると思う。遺伝医療の現場では,子どもたちのもつ輝きを,そして命を授かることの重みを話し合い,不安を抱く妊婦とその家族に伝えていくことが重要である。「Key words」母体血を用いた新しい遺伝学的検査,無侵襲的出生前遺伝学的検査,遺伝カウンセリング,陽性的中率,臨床遺伝専門医,認定遺伝カウンセラー
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