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無侵襲的出生前遺伝学的検査 母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査の現状と今後
左合 治彦
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1国立成育医療研究センター副病院長/周産期・母性診療センター長
pp.29-31
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0055.08.01_0029-0031
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「はじめに」母体血漿中にはcell-freeDNA(cfDNA)が存在し,多くは母体由来であるが,約10%は胎児(胎盤)に由来する。母体血漿中cfDNAを次世代シークエンサーで網羅的に解析し,胎児の遺伝学的検討を行う検査が無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal genetic testing;NIPT)である1)。Maternal plasma(cell-free)DNA testingであり,母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査ともいわれる。2011年に米国で臨床検査として導入され,日本においても2013年4月より臨床研究として開始され,大きな社会的関心を集めている2)。現在は3つの染色体疾患(21トリソミー,18トリソミー,13トリソミー)であるかどうかを判定する検査で,感度・特異度は高いがあくまで非確定的検査である2)。ヒトの全ゲノム解析が完了し,また高速で大量のシークエンスを行える次世代シークエンサーの登場により可能となった新しい技術である3)4)。今までの出生前診断を根底から覆す可能性を秘めた検査である。母体の採血のみで行えるため,安易に出生前診断を受けることを助長する懸念もあり,出生前診断の倫理的な問題が浮き彫りとなってきた。本稿では日本におけるNIPTの現状と今後について解説する。「Key words」無侵襲的出生前遺伝学的検査,21トリソミー,遺伝カウンセリング
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