特集 CURRENT TOPICS 2nd GAST SUMMIT JAPAN学術講演会ハイライト
ワークショップ:日本ヘリコバクター学会のガイドラインを検証する 2 適応疾患について
鈴木 秀和
1
1慶應義塾大学医学部医学教育統轄センター教授
pp.29-30
発行日 2018年3月15日
Published Date 2018/3/15
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.13.02_0029-0030
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H. pylori除菌の適応疾患は,2009年のガイドライン改訂以来,「H. pylori感染症」としており,2016年改訂版でもこの点の変更はない。「H. pylori除菌は,胃・十二指腸潰瘍の治癒だけではなく,胃癌をはじめとするH. pylori関連疾患の治療や予防,さらに感染経路の抑制に役立つ」と提言している。H. pylori感染症として,H. pylori除菌の推奨度に応じて「H. pylori除菌が強く勧められる疾患」と「H. pylori感染との関連が推測されている疾患」の2つに分類している。特に強く勧められる疾患はH. pylori感染胃炎である。ただし,胃粘膜萎縮の場合は改善されることが明らかになっているが,腸上皮化生は「進展が抑制される」という表現にとどまっている点に留意する必要がある。胃潰瘍,十二指腸潰瘍はNSAIDsが関与しない場合H. pylori除菌によって潰瘍再発が抑制され,潰瘍症からの離脱が可能となる。H. pylori陰性で非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)による潰瘍の場合には除菌をしても治療効果は期待できない。
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