これからの緑内障診療のために「緑内障と近視」
第1章 はじめに ②疫学的見地からみた緑内障と近視
新家 眞
1
1公立学校共済組合関東中央病院院長
pp.60-63
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.49_0060-0063
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「はじめに」近視は最もありふれた眼病であり全世界では約15億人が罹患しているとされており,その数は2020年には少なくとも50%は増加すると考えられている1).さらに重要なことは,病的強度近視は失明に結びつく重要な疾患の一つであり,実際わが国で行われた多治見緑内障疫学調査では,眼単位の失明原因としては,病的近視による後局部病変が第1位であったことは,銘記すべきであろう2).当然physiologic(intermediate)myopiaでも,未開発地域では視力低下の原因となるし,既開発地域でも,その矯正に要する社会的な経済負担は,コンタクトレンズ,眼鏡,はては屈折矯正手術まで含めて決して無視できる額ではない.近視のもう一つの問題としては,上記の病的強度近視,近視矯正に要する経済的負担のみならず,複数の失明に結びつく重要な眼疾患の,重要なリスク因子であるということである.近視は直接のみならずそのような間接的関与も含めれば,人類最大の失明原因であると言っても過言ではない.本稿では,近視が重要なリスク因子である開放隅角緑内障に視点を絞って,特に疫学的な見地から述べてみたい.
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