特集 緑内障診療ガイド—今日の戦略
Ⅰ.診断・治療の指針—私はこうしている
1.診断の指針
近視乳頭における緑内障診断
千原 悦夫
1
1千照会千原眼科医院
pp.48-49
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907861
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クローズアップされる理由
緑内障診断にあたって近年最も重視されているのは緑内障性視神経萎縮の存在である。眼圧が高いことは緑内障性視神経萎縮を起こす最大の危険因子であるが,それだけでは緑内障とは診断されない。緑内障性視神経萎縮が存在する場合,その結果として視神経乳頭の陥凹拡大をはじめとする緑内障視神経異常が認められ,網膜神経線維層欠損,傍乳頭脈絡膜萎縮や視野の欠損につながる。しかしこれらの臨床症状は各個人によって差があり,ちょうど遺伝子の異常が種々の修飾因子のために異なった表現型をとることと似ている。表題の「近視乳頭」は緑内障性視神経萎縮の臨床像を修飾する因子の1つと考えてよい。
近年,近視眼における乳頭所見がクローズアップされる理由の1つは,最近普及してきた近視矯正手術の影響もある。近視は開放隅角緑内障発生の危険因子の1つであるが,近視眼の角膜は角膜硬性(rigidity)が低いうえに,削られることによって眼圧測定値がみかけ上低く評価される。したがって近視眼が緑内障に罹患しているか否かを判断するうえで,眼圧の地位は相対的に低くなり,乳頭所見が重要ということになる。
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