Summing Up
緑内障の病態
三木 篤也
1
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学講座眼科学分野学部内講師
pp.36-43
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.49_0036-0043
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「はじめに」科学技術革新に伴い,緑内障の病態理解は基礎と臨床の両面で大きく進歩している.基礎面では,遺伝子研究の進歩が著しく,最近のゲノムワイド関連分析(genome wide association studies:GWAS)により数多くの緑内障感受性遺伝子が報告され,緑内障の診断力向上と病態理解の改善に寄与することが期待されている.一方,臨床面においては画像診断機器の進歩が著しく,これまでは死体眼における組織学的研究や動物実験モデルにより,間接的に観察するしかなかった緑内障に特徴的な解剖学的変化を生体眼において観察することが現実のものとなってきている.「緑内障に関与する遺伝子」多くの疫学的研究により,緑内障には家族性があることが報告されている.それに基づき,緑内障の原因遺伝子を探索する研究も数多く行われている.1997年にStoneらによってMyocillin(その当時はTIGRと呼ばれた)遺伝子が報告されて以来,数多くの緑内障の原因遺伝子が報告されてきた.しかし,これまでに報告されたすべての遺伝子を集めても,それらが関与するのは緑内障全体の10%に満たないとされている.
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