Summing Up
緑内障の病態
二口 亜希子
1
1熊本大学大学院生命科学研究部眼科学講座/東北大学加齢医学研究所モドミクス医学分野
pp.34-43
発行日 2019年3月14日
Published Date 2019/3/14
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.00.57_0034-0043
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緑内障は多因子疾患であり,眼圧,視神経の脆弱性や循環障害,遺伝素因,全身疾患や脳脊髄液圧などの要因が複雑に影響し合うことで病態が進行していく.眼圧は房水産生と流出のバランスによって影響を受けるが,房水は角膜や線維柱帯,水晶体などの栄養・酸素の供給を担うと同時に,それ自体に多様な生理活性物質を含んでいる.近年のオミクス解析技術の目覚ましい発展により,緑内障の病型,あるいは眼手術などの外的環境要因によって,房水に含まれる生理活性物質の組成が大きく変化し,緑内障そのものの病態や緑内障手術後の成績に影響を与え,眼内環境を制御することが明らかになりつつある.本稿では,緑内障病型ごとにその病態を紹介したあと,代表的な房水中の生理活性物質について,前半では房水流出路の観点からその分子メカニズムを中心に紹介し,後半では緑内障術後成績にかかわる因子について,自施設での研究内容も交えながら紹介したい.
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