Glaucoma Q&A
Q1:緑内障とバイオメカニクスの関係について教えて下さい/Q2:緑内障の進行診断について気をつけるべきことを教えて下さい
三木 篤也
1
1大阪大学眼科学教室脳神経感覚器外科学(眼科学)講座寄附講座 准教授
pp.45-50
発行日 2020年10月5日
Published Date 2020/10/5
DOI https://doi.org/10.34449/J0024.01.60_0045-0050
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「緑内障は,視神経と視野に特徴的変化を有し,通常,眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患である」(緑内障診療ガイドライン第4版)と定義されており,眼圧依存性の視神経障害が緑内障の本態といえます.眼圧はゴールドマン圧平眼圧計などにより,角膜を変形させて測定します.そのため,測定眼圧は真の眼球内圧だけでなく,眼球の剛性,特に角膜の剛性の影響を受けます.中心角膜厚が厚いと測定眼圧が高くなることは古くから知られていますが,実際にどの程度の厚みの変化によりどの程度測定眼圧が変わるかはよくわかっていません.というのは,測定眼圧は角膜の組織的な性質の影響を受けるのであり,単なる厚みに過ぎない角膜厚では十分に補正できないということがあります.そのため,角膜の組織学的な性質,特に生体物質としての変形しやすさを直接測定したいという考えが出てきました.この,生体物質の曲がりやすさや剛性,脆弱性などの物理的な性質を測定する学問を生体力学(バイオメカニクス)と呼びます.
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