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治療の目標眼圧
眼圧をコントロールし,視神経障害および視機能障害の進行を阻止することが原発開放隅角緑内障(POAG)の治療の目的である1〜3)。視神経乳頭陥凹が著しく,視野が中心部または耳側を中心に残存するのみなどの末期POAG症例では,残された視機能を保持するためには,迅速かつ適切な管理,治療が必要となる。治療により眼圧をどの程度のレベルに保持するべきかは,個々の症例に即して決める必要があるが,視神経障害および視野障害が著明なPOAGにおいては,眼圧を21mmHg以下で10mmHg台後半に保持した場合であっても,長期的には視神経障害,視野障害の悪化がみられることが少なくなく,治療の目標眼圧を病期によっては21mmHgよりもさらに低いレベルに設定すべきである1〜7)。
当科にて,15年を越える長期経過観察を行ったPOAGにおいて,経過中の眼圧と視野障害の進行の有無(ゴールドマン視野)との関係について検討した結果,比較的早期のPOAGでは眼圧を19mmHg以下,初期暗点のあるものでは眼圧を16mmHg以下,著しい進行眼では眼圧を14mmHg以下に保持できないと長期的に視野障害の進行を阻止できないことが示され,健常眼圧は病期の進行に伴って低下することが示唆された1,7)。経過観察開始時の視野欠損が1/4以上の著しく進行したPOAGでは,5年の経過観察で視野障害進行群の平均眼圧は19.8mmHgで,非進行群の平均眼圧は15.1mmHgで,15年の経過観察で視野障害進行群の平均眼圧は19.4mmHgで,非進行群の平均眼圧は13.4mmHgであった(表1)7)。平均眼圧が15mmHg未満であった症例においては視野障害の進行はみられなかった(図1,2)7)。また年齢と視野悪化との関係についても検討した結果,視野障害進行群は非進行群に比して,平均年齢が高い結果であり,加齢も視野障害悪化の危険因子の一つであることが示唆された1)。
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