特集 緑内障Today
Ⅴ 緑内障手術をめぐるControversy
白内障を伴った原発開放隅角緑内障・1
本庄 恵
1
,
谷原 秀信
1
Megumi Honjo
1
,
Hidenobu Tanihara
1
1京都大学視覚病態学(眼科学)
pp.163-165
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905123
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PEA+IOL+トラベクロトミーの同時手術を選択する
白内障を伴った緑内障眼に対する手術戦路として単独手術か,同時手術かという選択がある。単独手術の場合,まず緑内障手術で眼圧をコントロールしてから白内障手術を併用するという方法が一つ,また,眼圧上昇レベルが中程度の症例では,白内障手術をまず行った後に,必要に応じて緑内障手術を追加していくという方法も考えられる。従来,線維柱帯切除術など濾過手術と白内障手術の同時手術は,単独手術と比較して眼圧下降効果が劣ること,術式が煩雑であること,術中併発症や強い術後炎症の頻度が高いことなどが問題となっていた。しかし白内障手術手技や機器が改善されるとともに,小切開無縫合白内障手術の概念が一般化されて,それらの問題点がずいぶんと軽減されるようになった。また将来生じうる緑内障追加手術の可能性を考慮しても,強結膜をより広く温存できる同時手術の優位性は高い。このように近年,白内障手術手技の進歩と眼内レンズの改良に伴い,白内障・緑内障同時手術が選択されることが多くなり,白内障手術も小切開超音波白内障手術が用いられることが一般化しつつある。現在,筆者らの施設では,白内障を伴った原発開放隅角緑内障の症例に対し,術前眼圧レベルが中程度で視野狭窄が軽度の場合,トラベクレクトミーとの同時手術ではなく,トラベクロトミーとの同時手術を第一選択としている。本稿では,筆者らがこの術式を選択する根拠として,トラベクロトミー・白内障の同時手術の特徴とその成績について言及する。
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