特集 緑内障Today
Ⅴ 緑内障手術をめぐるControversy
白内障を伴った原発開放隅角緑内障・2
岡本 仁史
1
,
桑山 泰明
1
Hitoshi Okamoto
1
,
Yasuaki Kuwayama
1
1大阪厚生年金病院眼科
pp.166-168
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905124
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はじめに
白内障を伴った原発開放隅角緑内障に対する治療として,(1)白内障単独手術,(2)緑内障単独手術,(3)白内障・緑内障同時手術,と3つの選択肢がある。白内障・緑内障同時手術には,トラベクレクトミー・白内障同時手術(レクトミートリプル)やトラベクロトミー・白内障同時手術(ロトミートリプル)などがあり,白内障手術は超音波水晶体乳化吸引術(PEA)+眼内レンズ挿入術で施行される。近年トラベクレクトミーは5-フルオロウラシル(5—FU)やマイトマイシンC (MMC)などの線維芽細胞増殖阻害薬の併用により,その手術成績は格段に改善し,目標眼圧が低い症例に対しても有効な手術法となっている。また,これらの薬剤の使用にあたり,当初問題になっていた過剰濾過・低眼圧による合併症も,強膜弁のよりtightな縫合,術後のlaser suture-lysisの併用により減少してきている。これに対してトラベクロトミーは,術後の一過性眼圧上昇と術後眼圧レベルが問題となる。したがって,目標眼圧が15mmHg以下の症例,視神経陥凹が進行しており術後一過性眼圧上昇を避けたいような症例,または患者のコンプライアンスが悪く,できるだけ術後投薬を少なくしたい場合では,トラベクレクトミーが選択されるべきであろう。レクトミートリプルも,かつてはトラベクレクトミー単独手術と比較して,術後成績が不良であったが,近年PEAやfoldable IOLの発展と線維芽細胞増殖阻害薬の併用により,より安全で成績の良い手術になった。レクトミートリプルについてその適応と,術式,術後成績について紹介する。
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