特別寄稿
アンドロゲンと子宮内膜機能
神崎 秀陽
1
1関西医科大学名誉教授・常務理事
pp.84-88
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.25.02_0084-0088
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アンドロゲンは男性ホルモンの総称ではあるが,女性でも産生されて末梢血中を循環している生理的に非常に重要なホルモンである。女性の血中で検出されるデヒドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosterone;DHEA)およびそのサルフェート(DHEA-S),アンドロステネジオン(androstenedione;A4)はアンドロゲンと呼ばれてはいるが,アンドロゲン作用自体は極めて弱い。A4から転換されたテストステロン(testosterone;T)の大部分は末梢血中ではアルブミンやグロブリンと結合しており,数%が活性のある遊離型Tとして存在する。Tは標的組織の細胞内で受容体(アンドロゲンレセプター(androgen receptor;AR))と結合してホルモン作用を発揮するが,さらに還元酵素によってARとの結合能がより高いジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone;DHT)となる場合もある。近年,アンドロゲンを活性型に転換する酵素群やARは卵巣のみならず子宮内膜にも存在していることが明らかとなり,月経周期での子宮内膜の増殖と分化,内膜の胚受容能獲得などの過程におけるアンドロゲンの役割解明をめざす研究が進められてきている。
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