特集 ニューロステロイド
特集にあたって
水沼 英樹
1
1弘前大学大学院医学研究科産科婦人科学教授
pp.14-14
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.24.02_0014-0014
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性ステロイドホルモンは視床下部-下垂体-性腺を結ぶフィードバック機構によりその分泌の制御を受けるばかりでなく,記憶,認知機能,あるいは生殖行動などの生体の高次機能にまで深く影響をもち,加えていくつかの精神疾患の病態にまで関与していることが知られている。このため,高次機能の中枢である脳は抹消の内分泌臓器である副腎や性腺で合成された性ステロイドホルモンの標的臓器と考えられてきた。しかも,脳内にはヒトを含め脊椎動物全般でアロマターゼ酵素が存在していることから,脳組織におけるステロイドホルモンの機能は抹消血由来のステロイドホルモンにその起源があると考えられていた。ところが,脳組織で検出される性ステロイドホルモン濃度は抹消血を循環する性ステロイドホルモンレベルとは無関係に存在することが知られるようになり,さらに,生化学的手法や免疫組織化学的手法の導入によって,脳におけるステロイドホルモンは抹消血由来ばかりでなく,脳神経そのものにおいてコレステロールからde novo に合成されていることが示されてきた。つまり,脳そのものが内分泌器官としての機能をもつことが示されたのである。
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