特集 生殖医療の現在
特集にあたって
吉村 泰典
1
1福島県立医科大学副学長/慶應義塾大学名誉教授
pp.7-8
発行日 2016年4月20日
Published Date 2016/4/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.34.04_0007-0008
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生殖医療は人の生命の誕生にかかわる医療であることから,通常の臨床医学とは本質的に異なった倫理観が必要となる。それは生殖医療がすでに存在する個人を対象とするのではなく,生命の誕生そのものを対象とするからである。医師が患者に医療行為を施すとき,「患者のために」や「患者は待っていられない」という言葉がよく使われる。臨床医学では,医師が患者の求めに応じて,その時代における最高水準の医療を提供できる。しかしながら,生殖医療における治療の対象は,クライエントから生まれてくる子を含む家族である。近年の生殖医療の進歩には目覚ましいものがあり,生殖現象の解明のみならず,ヒトの生殖現象を操作する新しい技術も開発されている。細胞生物学や先端生殖工学技術の飛躍的進歩に伴って,生殖医学も革命を受けつつあるといっても過言ではない。
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