特集 着床
着床と免疫
齋藤 滋
1
1富山大学大学院医学薬学研究部産科婦人科教授
pp.67-71
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.22.03_0067-0071
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「Summary」異物である胚を許容するために種々の胎児許容機構が存在するが,なかでも制御性T細胞(Treg)は中心的役割を果たす。父親抗原特異的Tregを誘導するためには精漿のプライミングが重要な役割をもつ。着床前後で免疫能はダイナミックに変動するが,これらの変化がうまくいかないと着床不全となる。免疫からみた着床不全は免疫の活性化が亢進している場合と活性化が抑制されている2つのケースがあり,治療法も異なる。「はじめに」生物は進化の過程で,体外で卵子と精子が受精する生殖(魚類,両生類など)から,体内で受精し殻を破った受精卵として産み落とす生殖(爬虫類,鳥類)に進化し,体内で受精し子宮内で胎児を育てるという生殖(哺乳類)へと,さらに進化した。この生殖は最も効率的に胎仔を守ることができる一方,異物である胎仔を拒絶することなく,胎仔を許容しなければならないという生物学的難問を解決しなければならなくなった。「Key words」制御性T細胞,精漿,トロホブラスト,着床不全
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