リプロダクション
受精から着床まで
鈴木 秋悦
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科
pp.68-69
発行日 1971年10月1日
Published Date 1971/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204241
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精子と卵子の合体,すなわち受精は卵管の膨大部で行なわれる。射精されて腟,子宮,卵管へと移動してくる精子のスピードは非常に速く,射精後1時間半くらいで,卵管の膨大部まで到達するといわれている。それに比較して,卵巣の卵胞が破れて(排卵),一度腹腔内に出た卵子が,ラッパ状の卵管の采部といわれる部分に取りこまれて卵管の中に移動してくる時間は,人の場合,正確な時間はまだ明らかにされていないが,だいたい2〜3時間くらいであろうと推測されている。
卵管膨大部に達した卵子は,そのまわりを厚い顆粒膜細胞層に包まれて,精子の侵入を待っている。精子が卵子の中に侵入していけば,もちろん受精が開始されたことになるが,たまたま精子がその場所にいない場合にはどうなるかというと,卵子はだんだんと老化していって,最後には,その場所で死滅していくことになる。
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