CURRENT RESEARCH
着床をめぐる内分泌—免疫相関
藤原 浩
1
1京都大学大学院医学研究科婦人科学産科学
pp.759-764
発行日 1998年5月10日
Published Date 1998/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903297
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大学での研修後,いくつかの赴任病院で産婦人科のさまざまな症例に遭遇したころ,妊娠した場合,果たして本当にhCGのみで妊娠黄体が誘導され,着床の成立を維持できるのかどうか,また妊娠初期の母体の急速な変化は,内分泌系のみで説明できるのかなどを,素朴な疑問として感じるようになりました.しかしながら,その当時にいくら成書を繙いても明確な答えは得られませんでした.8年前に大学の研究室にもどって主に卵巣細胞の分化に関する研究に携わるようになり,妊娠黄体にTリンパ球に対する細胞接着分子が発現していることを明らかにしました.このときから妊娠黄体の維持を含め,妊娠初期の母体の変化に免疫系が積極的にかかわっているのではないかという考えに至りました.その後,当時の教室主任である森教授より,着床現象も含めて解析するようにと助言をいただき,同僚であった故後藤康夫君とともに,本研究を開始して,本稿で紹介するような展開となった次第です.
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