Japanese
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連載講座 個体の生と死・5
着床
Implantation
舘 澄江
1
,
舘 鄰
2
Sumie Tachi
1
,
Chikashi Tachi
2
1東京女子医科大学解剖学・発生生物学教室
2麻布大学獣医学部動物工学研究室
pp.588-596
発行日 1997年12月15日
Published Date 1997/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901276
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着床(卵着床)(implantationまたはovum implantation)とは,胎盤形成の初期過程において,遺伝的に異なる胚子と母体の子宮組織が互いに緊密な関係を確立する過程であり,着床の様式は最終的に形成される胎盤の型により異なっている。胎盤の型は a)上皮漿膜性胎盤epitheliochorial placenta(例:ブタ,ウシ,ヒツジなど),b)結合組織漿膜性胎盤syndesmochorial placenta(例:ウマなど),c)内皮漿膜性胎盤endotheliochorial placenta(例:イヌなど),d)血(液)漿膜性胎盤haemochorial placenta(例:ヒト,ラット,マウスなど)の4種類に大別される(図1)。
血漿膜性胎盤は他の胎盤に比べ胚子の栄養膜細胞による子宮内膜組織の浸潤(侵襲)の最も著しい型である。経時的な変化の著しい過程で,着床期を明確に限定して定義するのは極めて難しいが,胚盤胞の栄養膜細胞と子宮腔上皮細胞の接着開始から,栄養膜細胞による内膜組織の血管浸潤の開始までを「着床(期)」と定義するのが一般的である。着床の現象は遺伝的に異なる胚子組織と母体組織との間に確立される細胞間相互作用という観点から,古くから興味を持たれ多方面から研究がなされてきた。本課題ではヒトと同様,血漿膜性胎盤を形成するラットやマウスを中心に,胚盤胞形成と着床に関して,その概略を要約してみたい。
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