連載 R&D ~第一人者に聞く~
ブレンツキシマブ ベドチンの医師主導治験:希少疾患治療への挑戦
平井 陽至
1
1岡山大学病院皮膚科 講師
pp.48-50
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.42.01_0048-0050
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ブレンツキシマブ ベドチン(brentuximab vedotin:BV)の適応拡大のための医師主導治験は、希少疾患治療の重要性と医師主導治験の意義を深く認識する貴重な機会となりました。CD30陽性皮膚T細胞性リンパ腫(CD30 陽性CTCL(cutaneous T cell lymphoma))は、日本では年間50~100例程度しか発症しない非常に希少な疾患です。2019年の治験開始時、日本ではこの疾患に対する承認済みまたは開発中の医薬品は存在せず、患者さんたちには有効な治療選択肢がほとんどありませんでした。BVは、抗CD30抗体と細胞障害活性をもつモノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E:MMAE)をリンカーで結合させた抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)です。欧米では既にCD30陽性CTCLに対する適応を取得していましたが、国内での申請予定はありませんでした。この状況を打開するため、岡山大学を中心とした6施設による多施設共同の医師主導治験が立ち上げられたという流れです。

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