整形トピックス
細胞磁気ターゲティングの医師主導治験
亀井 直輔
1
1広島大学大学院整形外科
pp.990-990
発行日 2023年8月1日
Published Date 2023/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei74_990
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細胞磁気ターゲティングとは,磁場を用いた細胞デリバリーシステムのことであり,注射で局所に投与された細胞を磁場によって目的の部位へ誘導・集積させることで,低侵襲かつ有効性の高い再生医療の実現をめざしている.骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いた関節軟骨再生の研究は広く行われ,世界中で臨床研究も行われているが,細胞投与方法に課題が残っている.軟骨欠損部にMSCを移植する際に関節を展開してしまうと,手術侵襲によって関節機能に悪影響を与えてしまう.そこで,MSCを関節内注射する方法もあるが,細胞が関節内に拡散して,関節軟骨修復に寄与する細胞がごく一部にとどまってしまう1).そこで,フェルカルボトランというMRI用の造影剤として臨床で使用されている超常磁性酸化鉄微粒子を細胞質に取り込ませて,磁性化したMSCを関節内に注射しながら体外から磁場を発生させると,MSCを軟骨欠損部へ誘導することができ,そのまま10分間磁場で細胞を保持しておくと,軟骨欠損部へMSCが接着する2).
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