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ゲノム解析研究の爆発的な進展により,「パーソナルゲノム (personal genome) 時代」すなわち,各個人のゲノムの情報を生活に活用する時代が到来した。これに伴い医学・医療にもパラダイムシフトが起こっている。ゲノム情報が「個別化医療 (personalized medicine)」「精密医療 (precision medicine)」として,医療へと応用され,より論理的,戦略的,包括的な医療が展開されようとしている。全ゲノム相関解析 (genome-wide association study:GWAS) を中心とする大規模ゲノム解析により,さまざまな疾患で関連するゲノム情報が収集され,それを統合した医学研究が世界中で,医学のあらゆる分野で進行中である。整形外科疾患にもその流れは及び,本質的な疾患の病因・病態の研究が進んでいる。世界の流れにはいささか遅れ気味ではあるが,わが国の整形外科領域でも,新時代の医療の基盤となるゲノム研究が始まっている。変形性関節症 (osteoarthritis:OA),思春期特発性側弯症,骨粗鬆症,関節リウマチなど,さまざまな整形外科疾患ですでにGWASが行われている。さらに,それに続くポストゲノム解析が始まっている。GWASデータを元に,個人の疾患リスクや疾患間の遺伝的関係性なども評価することが可能となった。ゲノム医療に向けたゲノム研究の流れは,今後ますます加速するだろう。本稿では,整形外科のなかでも最大級の大規模GWAS解析,トランスクリプトーム解析が進んでいるOAのゲノム解析の最近の動向について述べる。「KEY WORDS」全ゲノム相関解析,疾患感受性遺伝子,1細胞RNAシーケンス,エピゲノム
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