特集 高齢者と眼疾患
特集にあたって
水木 信久
1
1横浜市立大学大学院医学研究科眼科学教室主任教授
pp.7-7
発行日 2019年12月20日
Published Date 2019/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.37.12_0007-0007
- 有料閲覧
- 文献概要
私たちの日常生活において,視覚を通して得られる情報は80%以上といわれております。健康で心身が満たされた生活(quality of life:QOL)を送るためには,健康な視機能(quality of vision:QOV)を生涯維持することが重要であります。しかしながら,高齢になると,加齢に伴い五感の1つである「視覚」にも機能低下が生じます。この機能低下は,成熟期以降から始まる生理機能の低下「老化」が大きく影響しております。老化は,遺伝的要因に加えて,ミトコンドリア機能異常や外的ストレスによって生じた過剰な活性酸素が,DNAを損傷して,アポトーシスを誘導,異常蛋白を蓄積することにより進行すると考えられています。わが国では,2018年に100歳以上の長寿者(センテナリアン)が約7万人にも上る高齢化社会となりました。社会の高齢化に伴い,高齢者にみられる白内障や緑内障,網膜静脈閉塞症,糖尿病網膜症などの眼疾患は年々増加しております。したがって,患者が自立した生活やサクセスフル・エイジング(successful aging)を送るために,私たち眼科医にとって,疾患の的確な診断と治療および予防は大変重要な責務といえます。単に長寿であるだけでなく,健康寿命の延伸がとても大切です。
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.