- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
脂質異常症の動脈硬化性疾患におけるリスク因子としては,高LDLコレステロール(LDL-C)血症以外にも高トリグリセリド(TG)血症・低HDLコレステロール(HDL-C)血症が存在するが,従来高LDL-C血症の重要性が中心的に論じられ,日本動脈硬化学会による動脈硬化性疾患予防ガイドラインでも包括的なリスク評価や治療について詳説されている1)。しかし強力なコレステロール低下療法によりLDL-C値を極端に低下させても心血管イベントが発症する「残余リスク」が問題となっており,その1つである高TG血症の重要性が高まっている。わが国においては肥満や耐糖能異常の増加と相まって空腹時高TG血症患者が急増し,metaanalysis2)やわが国における検討3)でも心血管疾患の独立したリスク因子と示されているが,高ければ高いほど心血管イベントの発症リスクも高いわけではない。これに対して,以前から食後TG値と心血管疾患の発症に相関があることが知られており,食後高脂血症という病態として認識されている1)。わが国でのデータでも,非空腹時TG値の上昇はコレステロール値と独立して突然死・心筋梗塞・狭心症が増加し4),しかも空腹時TG値が150mg/dL未満と予想される群においてもリスクの増加が確認できる。さらに欧州動脈硬化学会からはスウェーデンの疫学データをもとに空腹時の値から約25mg/dL高い2mmol/L(175mg/dL)を食後TG値の基準値上限とし,食後検体による日常評価の有用性を示している5)。食生活の異なるわが国にこの基準値をそのまま用いるのは難しいが,食後高脂血症の重要性が認識されていることは間違いない。「KEY WORDS」食後高脂血症,レムナント,カイロミクロンレムナント,アポリポ蛋白B-48,non-HDLコレステロール
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.