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感染症とは、寄生虫、細菌、真菌、ウイルス、異常プリオンなどの病原体の感染により、動植物である宿主に生じる病気をいいます。これらは、感染場所、病原体の種類、病態の種類によりさまざまな分類がされています。病院の日常診療の中では、小児から高齢者まで年齢は幅広く、免疫力の落ちた患者が病原体に感染しやすくなり、医療従事者が院内で菌を運び伝播経路となる院内感染などが起こります。感染症の原因となる微生物を含むものを感染源といい、主な感染源として、嘔吐物・排泄物、血液・体液・分泌物、使用済みの器具・機材、感染源に触れた手で取り扱った食品などが挙げられます。感染経路と原因微生物は、次のとおりです。手、食品、器具を介する接触感染がノロウイルス、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌。咳、くしゃみなどによる飛沫粒子を媒介とした飛沫感染は、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、レジオネラ菌など。咳、くしゃみなどによる飛沫よりもさらに小さい飛沫核としての空気感染は、結核菌、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど。病原体に汚染された血液、体液、分泌物が事故により体内に入り感染する血液媒介感染は、エイズウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスがあります。原因微生物を遮断するためには、感染源を持ち込まない、持ち出さない、拡げないことが重要です。これらを実行するために、手洗い、環境清掃が重要です。今回は、食品を介する接触感染の食中毒について説明します。そして、院内感染対策として、医療従事者は感染症を予防し、感染症を早期に診断・治療し治療期間の短縮を図り、感染症の伝播を予防し、さらに耐性菌の出現・蔓延を予防するために院内の病原体や感染症の発生動向を把握し、職員が標準予防策(血液など生体に関わる湿性物質(汗を除く)はすべて感染性病原体を含んでいるものとして対応する予防策)と感染経路別(空気、飛沫、接触感染)予防策を実践する必要があります。
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