特集 食品安全の最前線―感染症の観点から―
6.ウエルシュ菌による食中毒とその予防
余野木 伸哉
1
1地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所微生物部細菌課
pp.42-50
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0108.03.02_0042-0050
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食中毒について2009~2018年の10年間の統計をみると,年間の発生事件数はおよそ1,100(931~1,330)件,患者数はおよそ21,100(16,464~26,699)人である.このうち細菌性食中毒の事件数は年間およそ470(361~580)件,患者数はおよそ7,200(5,964~10,948)人を占めている.例年,細菌性食中毒の事件数のうち,およそ310(227~361)件はカンピロバクターによる食中毒である.それと比較してウエルシュ菌による食中毒の事件数は年間およそ25(19~32)件と少ないが,大規模な食中毒事件となることが多く,患者数はおよそ1,600(551~2,784)人であり,カンピロバクターによる食中毒の患者数(1,551~3,272人)を上回る年もある1).本稿ではウエルシュ菌およびウエルシュ菌による食中毒について基本的事項を確認するとともに,近年の知見や事例を加えて解説し,その予防方法について考察する.
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