特集 変形性関節症診療の新たな展開
変形性関節症の疫学
吉村 典子
1
1東京大学医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座 特任教授
pp.13-17
発行日 2017年6月20日
Published Date 2017/6/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.06_0013-0017
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変形性関節症(osteoarthritis;OA)は関節に非炎症性,進行性に骨形成性の変化をきたし,疼痛によって日常生活に不都合をきたす疾患である。2013年の厚生労働省国民生活基礎調査の結果をみると,OAが含まれる関節疾患は高齢者が要支援・要介護になる原因の5位(10.9%)であり1),OAが多くの高齢者の生活の質(quality of life;QOL)を低下させることによって,その健康寿命を短縮し,さらに医療費の高騰,労働力の低下の一因となっていることは明らかである。しかしその予防に必要な基本的疫学指標,すなわち有病率や発生率,危険因子を同定することは容易ではない。慢性に進行し経過が長いOAのような疾患は発生の日時を特定することが困難であり,医療機関の調査では実態を掴むことができない。そのため,一般住民の集団を設定して,集団全体について長期にわたる観察を行う必要があるからである。「key words」変形性関節症,有病率,要介護,コホート調査
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