特集 知っておきたい小児炎症性腸疾患(IBD)
序文
工藤 孝広
1
1順天堂大学医学部小児科学講座
pp.359-359
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.34433/pp.0000000102
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炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は寛解と再燃をくり返し腸管に慢性の炎症を呈する疾患であり,難病疾病に指定されているなかで最も患者数が多い疾患です.近年,IBDの患者数は増加の一途をたどっており,小児領域でも同様に患者数が増加しています.特に小児期発症のIBDでは成人より重症度が高く,罹患範囲も広範囲であるため治療に難渋することがあります.IBDは腸管粘膜の炎症や潰瘍についての評価を行うことが重要であることから内視鏡検査が診療に必須であり,消化器専門の小児科医を中心として検査・診断・治療について把握していることが多いだろうと考えられます.しかし,小児がIBDの初発症状として腹痛,下痢,血便を呈して病院を受診するのはかかりつけ医や地域の病院であろうと思います.症状,検査,鑑別疾患,診断,治療までの小児IBDについての詳細な情報があれば,腹痛や血便を呈する小児のなかにIBDという難病疾病が存在することに対して驚くことなく対応できると考えました.また,IBDをより広く知っていただくことで,必要な場合に早めの専門家への相談ができれば患者さんの予後を改善することにもなると考えます.
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