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心電図は,1903年にオランダの生理学者Einthovenによって発明され,100年以上の歴史をもつ古い検査法です.最近の循環器疾患の診断技術の進歩には目覚ましいものがあり,より目新しい診断法へと興味が向けられる傾向にあります.けれども,日常診療における検査では,非侵襲的に,いつでも,どこでも,その場ですぐに行えることが重要であり,12誘導心電図はまさにこれらの利点を兼ね備えた検査法です.今後どんなに診断技術が進歩しようとも循環器疾患の診断でまず最初に行われる基本の検査法は心電図であることに変わりはないでしょう.
たった1枚の心電図からも得られる情報は数多く,それを最大限に臨床診断・治療に結びつけることが大切です.今回,明日からの日常臨床にもすぐに役立つように,“症状別・疾患別にみた注意を要する心電図所見”をテーマとし,読者の方々に心電図診断で注目すべき点・見逃してはならない点を知ってもらおうと本特集を企画いたしました.実際,日常診療では,本に書いてある一般的な知識だけでは診断できない例や診断に苦慮する例も少なくなく,また時には重症例を見逃してしまうこともあります.臨床診断には症例や経験の積み重ねが何より重要ですが,誰もが多くの症例を経験できるわけではありません.本特集では各分野のエキスパートの先生方に豊富な臨床経験をもとに臨床心電図診断についてのメッセージを記載していただきました.本特集は,疾患の緊急性・危険性から代表的なものとして,胸痛-ST上昇型急性心筋梗塞,非ST上昇型急性冠症候群,急性肺塞栓症,劇症型心筋炎,たこつぼ型心筋症,動悸-頻脈性不整脈,失神・めまい-徐脈性不整脈,そして電解質異常の項目に分かれています.
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